卒業制作(中間)

まず、自分が実際に、建築やインスタレーションなどを創造する上で
「空間」とは、どのように人間の本質に属しているのかということを考察しました。

人間は自分のまわりの世界と関わりを持つ「主体」であり、
意識が一定の対象に向かう「志向性」という特徴をもつ「主体」でもあります。
そんな「主体」としての人間に関連づけられている「空間」を、「志向的空間」と考えます。

そんな「志向的空間」という観点から、空間/人間/媒体/世界の関係性を定義しました。


     


そして制作に関してですが、作品のテーマ・思考プロセスを更に探求するために、
先月、ジン・ヨハネスが主催する建築のワークショップに参加しました。

このワークショップは、滋賀県の忍術村で、実際に忍者服を着て忍術体験をし、
そこで得られるであろう特殊な感覚、感受性を磨き、
それらが風化しないうちに可視化し、空間化し、作品化するという事が目的です。

つまり、「実際に体を動かして体得する意味」というのを捉え直す機会を与えられたのです。

まず僕は、様々な忍術体験をする上で、一つの体験を記録する媒体としてビデオカメラを選択しました。
撮影した忍術修行のなかでも、足にウキを付けて水の上を渡るという「水蜘蛛」に着目します。
水面を歩いたその映像を見返してみると、日常の動きの中には現れてこない多数のズレやブレが確認できます。

そこで、水面を渡り終えるまでの一分間の映像を一秒ごとの静止画の展開として、平面に落とし込みました。
実際には忍者ではない僕が、あたかも忍者として動こうした時に生じた「ズレ」や「ブレ」。
それらをマッピングを通して、一度二次元にプロットし、もういちど三次元への展開を試みます。

やがて、その作業が壊れはじめ、ある種の「臨界点」に達した時、
そこには新たな空間の「ゆがみ(ワープ)」が生まれはじめます。

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中間発表の段階では以上の内容を話しました。

キーワードとして挙がっていたことは...
  • 人間/媒体/空間/世界(human/media/space/world)
  • 志向的空間(intentional space)
  • ズレ(divergence)⇔ convergence
  • 歪(ゆがみ、ひずみ)(warp)

さらに、中間の段階ではまとめきれず挙げれなかったキーワードとして
  • ノイズ(noise)
  • AV都市(audio-visual city )
  • 超建築(trans-architecture)
などがあります。

色々キーワードが挙がり一見バラバラのようにも感じますが、
全体としての繋がりが「ノイズ」を通してジワジワと見えはじめています。

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「ノイズ」に関しての参考文章など

『ノイズ≒異形』(東京大学「ノイズ文化論」講義/宮沢章夫

 異形への眼差しとか、異形に魅力を感じるっていうことに意味がある。それが何かを掻き立てるからこそ、人は偽の歴史を作ってしまったり、出来事を物語化する。そうでなければ、「正しい」とか「きれい」とか「美しい」ものだけで社会が構成されていく。たしかに、そうであろうと社会は動いているし、「正しい」という方向に物語を修正しようとするのは自然な運動だ。だからこそ、「外部」に逸脱するもの、こぼれ落ちていくものに魅力がある。そのことを考える想像力をなくしたとき、きわめてつまらない退屈な日常しか残らない。人間の生活の95%は退屈な日常で、残りの5%ぐらいのところに、なにか魅力的な「過剰」みたいなものがある。それが、おそらく「異形」であり<ノイズ>である。


『Noise』(Fictional World Lullaby / SPANOVA)

必ずしもそう見えるという事が
そういうわけではないように
何よりもまさる何かがあるわけではないように
すべてがすべてにとってのアイロニーではないように
こころがあるところまで
たどりつく最後に

Noiseは吠えず とりあえず
ただ波となりて世界と出会い
Noise どこかのfoolがmusicな風な形にする
Woo Noise It's a noise


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いまのところ、こんな感じです。
また載せます。

つだ

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