本日のエスキス

見方(関わり方)を変えるということについて。。

場所に対してどう関わっていくか、ということが先週からの課題でした。前回の記事で書いた2択については、
その場所を使って自分のテーマを作品に起こす、
という方向で進みたいと考えました。
単にその場所を見せる作品では説明的なものにしかならないと思い、あくまでも自分の表現をするということをこの卒制では取り組みたいです。

でもなかなかイメージが出てこなくて迷っています。
そこで先生からもらったヒントは見方を変える、ということです。
例えば天橋立はそこにあるものは一切変わっていないにも関わらず、逆さまに風景を見ることで全く違った印象を受ける、という話をしてもらいました。茶室での掛け軸や窓から見える切り取られた景色などもそうだということでした。

また日本と海外での彫刻についての話もあり、海外では360度見せる彫刻に対して日本の仏像などは正面性を大事にしている、という見方(見せ方)の違いがあるそうです。

今回の僕の場所についてもレンガ壁が強い正面性を持っており、これを裏として捉えてはどうかというヒントを頂きました。また僕自身はこの場所を風景として見ていますが、それを道行く人に伝えるということを考えてみろ、という風にも言ってもらいました。どう表現すればいいのか一向に分かりませんがとりあえず模型などで実践してみようと思います!

その他話題に挙がった作品で鉄斎の富士があり、日本人の風景の見方の参考にしたいです。

「立川新庁舎アートプロジェクト」

以下の文章は、前期の「立川新庁舎アートプロジェクト」についてまとめたもので、建築学科OB・OGの方々主宰で発行されている冊子「フォルマ・フォロ」の次号に掲載が予定されています。
この時期に、前期3ヶ月分のことを再度思い返しながら改めてまとめていくのはなかなか大変な作業ではありましたが、制作のプロセス・方法論を捉え直すことができたので自分としてはとても良い機会となりました。



「立川新庁舎アートプロジェクト」

 東京都立川市では平成22年度に新たな市庁舎の竣工が予定されています。土屋公雄スタジオの4年前期設計計画Ⅵでは、その新庁舎で展開されるアートプロジェクトにグループ制作で取り組みました。立川市は「まち全体が美術館」という理念のもと、積極的にアートを取り入れたまちづくりを推進しています。例えば、ファーレ立川では、それぞれのアート作品が換気口、排気塔、車止め、ベンチやサインなど、街に必要とされる機能を持っており、人々の日常の中に溶け込むようにして存在していました。新庁舎におけるアート化計画もそのような構想の一端を担っています。
市庁舎の設計者は客員教授の野沢正光先生でいらっしゃることから、設計に関する様々なお話をしていただきました。建物内部の機能美においては初期段階から市民との対話、ワークショップを重ねて追求していったというお話が特に印象的でした。これはいわば立川市民のためのオーダーメイド市庁舎であると言えるでしょう。ならば、私たちも市庁舎のためだけのアート(サイト・スペシフィック・アート)を創るべきではないかという考えが出発点となりました。
 しかし、いざ作り手側に立つとどうすれば自分たちの作品がサイト・スペシフィック・アートに成り得るのかよくわかりません。まずはリサーチをして自分たちの中の情報を増やし、あらゆる方向から可能性を探っていこうという話になりました。市庁舎の模型制作に始まり、実際の施工現場にも足を運びました。現場に行くと、模型だけでは見えてこない周辺環境の音や光、色、においなどが感じられます。そこで得たものがアイデアのきっかけとなることも多々あり、改めて場所を直接体験することの大切さに気づかされました。他にも立川市の地図や歴史などからも何かヒントを得ようと図書館や資料館へも行ったりしました。また、現在の公共の場ではアートやデザインがどのように生かされているのかを知るべく、パブリックアート&ランドスケープ見学ツアーも行いました。
 リサーチを進めるのと並行して、ドローイングや模型などでアイデアをとにかくたくさん出していきました。みんなの個性的なドローイングが壁一面に貼られたときのゼミ室はとても賑やかで楽しい空間となりました。その一見個性的でバラバラに見えるそれぞれのアイデアの中にも、いくつかの共通点を見出すことができます。それらをつなぎ合わせて大きな軸をつくり、そこからまたアイデアを出して可能性を拡げては再度まとめるということを繰り返していきました。学校での話し合いだけでは時間が足らず、みんなでファミレスに行って夜通しでディスカッションをすることもしばしばありました。それでもなかなかしっくりするアイデアが出てこないという日々が続きました。そこでもう一度図面や模型に立ち戻って考えていったところ、市庁舎という建築と関わったアート、その場から発生するアートを創ることが私たちの求めるサイト・スペシフィック・アートに繋がるのではないかという考えに行き着きました。再び模索の日々を続け、最終的にまとまった案は「立川の樹」を創ろうというものでした。単に植樹をするのではなく、吹き抜けから屋上にあるボリュームにかけて張り巡らされたワイヤーを伝って様々な植物が育っていき、いつしか絡み合ったその植物たちがみんなの大きな樹になるというものです。新たな市庁舎とともに成長していく樹であってほしいという願いも込めています。
 徹夜での作業が続いた時や、途中でアイデアが出せなくなったときはつらいと感じたこともありましたが、最後まで頑張ることができたのはゼミのみんながいたからです。また、これまでに経験したことのない規模でのプロジェクトを成し得たのもグループ制作ならではだと思います。今回の制作を通しての経験、みんなと共に過ごした時間は何より代え難いものとなりました。