卒業制作のテーマを探すにあたり、まずは今まで自分がそれぞれの課題などを通して考えてきたことを思い返してみました。そうしたところ、共通して目にはみえないところでの人と人、人とモノの関わり合いやつながりというものに私は興味を持っていることがわかりました。
そこで、個人的ではありますが、自分の幼いころの記憶を出発点にしたいと思います。その記憶とは、保育園の送り迎えの途中に車の中から入道雲が見えると、「あの雲の向こうにはおばあちゃんがいてその向こう側に行けば会える」と本当に信じていたことです。こう言うと、さも亡くなってしまった人の話をしているように聞こえるかもしれませんが、彼女は90歳を過ぎた今でも元気に過ごしています。その時の私は目には見えない離れた場所に住んでいる祖母とのつながりを感じていたのだと思います。
では、見えないところで自分と自分以外の人やモノとのつながりを感じるとは一体どういうことか。私たちはそれぞれ自分の身体という個体を持って生きているため、実際に目が届き、身体が触れることのできる身近な範囲ではリアルを感じることができます。しかし、その範囲を外れたところで起こっていることに対しては、極端に言ってしまうと壁一枚向こうで起こる事にさえついつい無関心になりがちです。これはしょうがないことなのかもしれませんが、私たちは一人の個という存在である前にその個が集まってできている大きな集合体の中でお互いに関わり合って生きていることを忘れてはいけないと考えます。その意識が自分の中にあるとき、たとえ目には見えず、身体に触れることができなくとも離れた人やものいつながりを感じ、思いを馳せることができるのではないでしょうか。
いま述べたような考えをさらに深めていき今後の制作に向かいたいと思います。作品に対する具体的なイメージ、使用する素材などは未定ですが、1/1のスケールで視覚的、または体感的な作品として表現したいと考えています。
以下は、何かヒントになりそうなイメージを集めたものです。
フランソワ・ルーアン
「紙の編み込み」
「編み込み」
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